体質改善につながる鍼灸治療により自律神経の乱れを整え 末梢神経血流改善によって精巣機能や精子の改善に期待できています。
男性不妊症や性機能障害の鍼灸治療による改善が正解の研究結果より確認されています。特に精子の質、流産率低下、妊娠率の向上、胚盤胞到達率の上昇がのぞめています。

女性だけじゃない!男性不妊のお話

不妊の原因

不妊の原因には、男性に原因があるもの、女性に原因があるもの、両者に原因があるものがあり、不妊の40~50%は男性側が関与しているものが占めているといわれています。

【原因】
・造精機能障害
・性機能障害
・精路通過障害
などが挙げられます。

このうち約80%は、精子の数が少ない、動きが悪いなど、精子をつくる機能に問題がある「造精機能障害」によるものです。

造精機能障害

造精機能障害の発症原因の約半数が不明ですが、約40%を占めている原因としては、精索静脈瘤(精巣から出てくる静脈の一部がこぶ状に膨らむ病気)があります。精索静脈瘤があると、精巣の血流が滞ったり、精巣の温度が上昇したりすることで、精子の量や動きが悪くなると考えられます。

精索静脈瘤

精索静脈瘤とは、精巣やその上の精索部に静脈瘤(静脈の拡張)が認められる症状のことを指します。一般男性の15%、男性不妊症患者の40%以上に認められ、後天性の男性不妊症(二人目不妊)の78%の原因です。精索静脈瘤が認められれば手術により精液所見の顕著な改善が期待できます。

無精子症

無精子症は大きく分けて「閉塞性」と「非閉塞性」の2つに分類されます。

■ 閉塞性無精子症とは
精巣で精子は作られていますが、精管が詰まっていて出てこない状態を言います。治療が可能は場合は、精路再建術、再建が不可能な場合は、顕微鏡下精巣内精子採取術を行い、その後、顕微授精を行います。

■ 非閉塞性無精子症とは
精巣内で精子が作られていない状態です。原因は様々ですが、先ずは血液検査でホルモン検査を行います。その結果異常がない場合は、顕微鏡下精巣内精子採取術を行い、精子が見つかれば顕微授精が可能です。また、ホルモン検査の結果、必要と判断された場合は、染色体検査(Gバンド法)とY染色体微小欠失(AZF)検査を行います。染色体異常やY染色体に欠失が有る場合は、治療はできません。

乏精子症・精子無力症

乏精子症とは、精液中の精子が少ない状態に対し、精子無力症とは、精神の運動性が悪い状態で、両方が併発して起きていることもあります。乏精子症・精子無力症は精索静脈瘤が原因であることが多いです。その場合は、手術をすることで精液の改善が期待できます。精索静脈瘤がない場合は、医療用コエンザイムQ10 100㎎(日内服)またはクロミフェン25-50㎎(日内服)を使用することがあります。

性機能障害

ED(勃起不全)や射精障害などの性機能障害も男性不妊症の原因です。男性不妊症の約13.5%の方が性機能障害であるといわれています。病気やストレス、陰茎への血流が減少することによって引き起こされるほか、性行為のタイミングなどに神経質になりすぎたりと精神的な原因も考えられます。

精路通過障害

精巣から通じている精巣上体(副睾丸ふくこうがん)や精管が閉塞している状態を指す通過障害が原因の場合もあります。通過障害は全体のおよそ3.9%です。

その他の原因

喫煙、加齢、アルコール摂取、心理的ストレスなどが男性不妊のリスク因子として関わっていることが明らかになってきました。ほかにも肥満、高温環境、スマートフォンなどの電磁波なども、精子の質を低下させる要因として報告されているものがあります。また精巣は体温より2~3度低い状態で機能します。精巣を温めると、機能が低下します。

控えたほうがよいこと

  • 喫煙
  • 長風呂
  • サウナ
  • ピッタリしたパンツ・下着

また発毛薬のプロペシアの服用も、精液所見を悪化させますので、不妊治療中は服用しないでください。生活習慣の改善は、男性不妊を考える上でとても重要であるといえます。これを機に生活習慣を見直し、健康な体を維持していきましょう。